夕山
<夕山>
夕日に照らされた赤い岩山と空だけのシンプルな構図で、モダンでありながらも古典的になるように制作しました。
特殊な技法は一切使わず「ひたすらガラスを切って半田付けをする」という作業を繰り返して、あとはガラスにお任せ、という作品になります。
山の赤いガラスは、アメリカのオセアナ社製で、岩のように硬いガラスでした。
絵は、空が綺麗な日に山の上から描きました。
空を彩る淡い色のガラスは、フランスのサンゴバン社製で、小さな気泡が入っています。
夕方の西日を浴びると小さな空気の泡が一斉に輝き始め、「この光の粒はフランスから来たのか」と、はるか遠い国に思いを馳せるのでした。
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「夕山」は、自然光が入った瞬間にかなり変化します。
この写真は雲が多い日に撮ってもらいました。
空のガラスに光の粒が見えますが、日差しが強いと更に輝くようになります。
ある日の教室の後、生徒さん(中学の同級生)が「このパネルを日光に当ててみたらどうなるのかな?」と言ってくれたので、西日が当たる作業台の上に置いてみました。
すると、午後の強い日差しにステンドグラスが照らされて、まるでガラスそのものが発光しているかのように輝いていました。
その瞬間を写真に撮ることはできませんでしたが(興奮しすぎて)、赤い山のガラスを太陽にかざして撮った写真を残していました。
パネルの写真とは違うように見えますが、同じものです。
この写真が、西日を通したステンドグラスの色に近いと思います。
完成した作品を見ると「ステンドグラスって不思議だなぁ」と感じるのですが、そういう時に「あぁ、この作品は、もう自分の手を離れたんだな」と思います。