トワイライトエクスプレスと立山連峰
<トワイライトエクスプレスと立山連峰>
トワイライトエクスプレスは、かつて大阪から札幌まで走っていた寝台特別急行列車です。
日本海の景色を眺めながら夜を迎え、朝には北海道に到着するという夢のような夜行列車でした。
写実的な表現を目指して、古くからある絵付け技法を用い、車体の黄色いラインはシルバーステインで色を付けました。
シルバーステインは、塩化銀や硝酸銀に黄土などを混ぜた顔料で、焼成後は銀の成分がガラス内部に浸透して発色し、無色透明のガラスを金色に変化させます。
立山連峰は、サンドブラスト技法で空に浮かび上がるように彫り、空と山と海が一体となっています。
この作品では、8作品の中で唯一、送電線を描いています。
絵画的に邪魔者扱いの送電線は、人間の勤勉さの象徴のようにも思え、何よりこれがなければ電車が走れないという大切なものだと思います。
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立山連峰は、クリアに青色が被せてあるガラスの青い部分を彫って、山が浮かび上がって見えるようにしました。
ガラスの青色の層が厚く、かなり苦戦しましたが、個展会場で通りすがりのお客様が「あ、立山だ」と言ってくださって報われました。
サンドブラストの作業としては、まずは、絵を描いてカバーシートをカットし、彫りたい部分のシートをはがし、そこに砂を当ててガラスを彫っていきます。
彫り具合を確認しながら作業するため、サンドブラストの蓋を頻繁に開け閉めしていたら砂を頭からかぶってしまい、「玉手箱を開けたばかりの浦島太郎」のようになりました。
トワイライトエクスプレスは、幸いにも京都の鉄道博物館で見ることができるので、スケッチに行ってきました。
他の作品で取り上げた機関車は、図案化したデザインが多かったのでスケッチしたように見えないかもしれませんが、構造や肌あいなど参考になることが多かったです。