日記

ステンドグラスと音楽

ステンドグラスを作っていると「そんなに手間ひまかけたのだから自分の手元に置いておきたいと思いませんか?」と訊かれることがありますが、全くそんなことはありません。

どちらかと言うと、とっとと嫁入りして、気の合う人と仲良く暮らしていって欲しいと思っています。

なので、出来上がると写真を撮るのも忘れて納品してしまいます。(ホームページに写真をアップしない言い訳)

ステンドグラスは「私」とは別物です。全く違うわけではないのですが、私の分身ではありませんし、所有したいとも思いません。産み出した後に眺めてみると「へぇ、私が作ったのですか」とビックリしたりして、ある意味、子どもを産むことに似ています。

 

ところが、音楽=私にとってはチェロを弾くことは、私の自己表現に他なりません。チェロから出る音は私の声であり、私の人生であり、私という人間を表現できる唯一の手段です。

なので、楽器を弾かずとも息は出来るし生活も出来るのですが、チェロを持たないでいると歌を歌えない鳥のように息苦しく感じることがあります。「こどもが可愛いからチェロを弾く気なんて起こらないんでしょう」と言われることもありますが、そんなことはありません。いつだって弾きたいです。

この数年間、子育てをすること、仕事をすること、楽器を弾くことを3つ並べてみて「2つしか無理だ」と判断し、楽器を後回しにしてきました。

ようやく「子育て第一次大変期」が終わり(気のせいか?)、仕事もなんとか工房を維持でき、ふと「どうやったらチェロを弾けるかな?」と考えてみました。

いくら少し余裕が出来たとは言え、オーケストラに入団して弾くなんて夢のまた夢。月に一度も練習に出かけられないような環境の私を受け入れてくれる団体などあるはずも無く。そこで思いついたのが「自分で作ればいいんだ」ということ。

「弦楽合奏で私と一緒に弾いてくれませんか?」と友人たちの心のドアを叩き、「え?前に言ってた話は本気だったの?」と驚きながらも集まってくれたメンバーの過半数は私と同じように楽器ケースも開けられなかった人たちです。

昨日は、そんな友人たちとホルスト作曲のセントポール組曲を練習してきました。私たちが練習している間、集まったメンバーのこどもたちは一緒に楽しく保育士さんと遊んでいてくれます。子供たちが「楽しかった!」と言ってくれるのが何よりです。

無理やり決めた本番は6月23日。メンバーからは「本番って本気だったの?」とまた言われました。

そういえば、ステンドグラスを仕事にすると言った時も「え?本気だったの?」と友人たちに驚かれました。いつだって私は本気なんですが、どうやら私は冗談ばっかり言っているような顔をしているみたいです。

本番の日は、古巣の大阪市民管弦楽団の皆様にお世話になります。よろしくお願いいたします。

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