日記

その1

異国を訪れると、その国が貧しければ貧しいほど
「お金は取れるところから取っておこう」的な対応に
悩まされます。
常に『騙されないように』と気を張り、疑い、慣れない言葉で
押し問答してまで自分の財産を守らなければならない状況に
ヘトヘトに疲れることも有ります。
ベトナムのハロン湾巡りに行った時のこと、木の葉のような
小船を漕いだ物乞いの親子が観光船に近づき、停泊している船の
周囲を諦めることなくクルクル回りながら、「ア、ア、ア」と
手を差し出して、暗い目でこちらを見つめていました。
ハノイのホテルで怒鳴り合いの壮絶なバトルを繰り広げ、既に
疲れ気味だった私は、思わず「船を漕ぐ元気があるなら働きなさい」
と日本語で言ってしまいました。
ある友人は「日本人が他の国の人よりも、お金を持っているのは
確かなんだから、笑って騙されておけば良いじゃないか」と
言いますが、私は『それも嫌な話だな』と思ってしまいます。
そんな話をしたら、同級生のノンちゃんは、目をキラキラさせて
「私は、そういう生きようとするエネルギーが好き。それに、
私がその国に生まれていたら、たぶん、同じように『取れる
ところから取ってやれ』って騙して、お金を少しでも多く
もらうことを考えたと思う」と言いました。
私は「なるほど」と、ようやく合点がいきました。

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