ランプの作り方 その2 サンドブラストの作業について
Kさんから「絵の部分は掘るのですか?それとも別の色ガラスをのせるのですか?」と質問されてハタと気づきましたが、サンドブラストの説明を忘れていましたので、もう少し詳しく書きますね。
サンドブラストとは、コンプレッサーによる圧縮空気で研磨剤をガラスに吹き付けることにより、ガラスの表面を削り取って絵を描く技法のことです。
一般的にはサンドブラストを単独で仕事にする工房が多く、ステンドグラスとは分業されているというか、とにかく普通のステンドグラス工房ではサンドブラストを使うことが少ないようです。
前回の「こつぶ展」に来られた他の教室の生徒さんたちが『モチモチの木』の花柄ガラスを見て何度も「これは買ってくるのですか?」と訊かれましたが、自分で作れるのですよ。ふっふっふ。
私の師匠の工房では、ごく普通にサンドブラストの機械が置かれていて、そこで『絵を描ける』という楽しさを知った私は、自分の工房を作った際に、迷わずサンドブラストを購入しました。
工房の片隅にあるサンドブラストの本体です。
前面にある2つの穴から手を入れて上の窓から覗きながら箱の中で作業をします。圧縮空気を送るためのコンプレッサーはパイプでつながれて窓の外のベランダに置いてあります。
箱の中にあるノズルです。このノズルから研磨剤を吹き出します。研磨剤はサラサラの細かい砂みたいなものです。
ガラスを丸に切り、カバーシートを張り、彫りたい形にカッターで切った後、一番深く彫りたい部分だけシートを剥がします。シートでカバーしていない部分に研磨剤が当たって彫れます。段彫りという技法ですので、これから何段階かに分けて掘り進んで行きます。
1段目と2段目が彫れたところで、3段目のシートを剥がします。
4段目のシートを剥がしたところで、これで最後です。
ようやく全部彫れました。
今回は、絵柄に『ツゲのペグ』を選んだので4段階で彫りましたが、『黒檀』なら2段階でいけたかも。3段階までで彫るのが作業的には理想的かと思います。
多かれ少なかれ、こんな風に何回かに分けて彫っていきます。ステンドグラスを作るのが目的なのに、その上、こんな細かい作業をするなんて普通に考えたら面倒臭いこと極まりないのですが、私はシートを剥がす毎にワクワクしながら楽しんで絵を描いています。