ハイリゲンシュタット
我が家の裏山を少し登ると、町を見下ろす高台に疎水と遊歩道が続きます。
昔、ウィーン郊外のハイリゲンシュタットで、ベートーベンが田園交響曲の構想を練ったという道も、こんなごく普通の山道でした。
若かりし頃、ハイリゲンシュタットを訪れた私は『え?ここで作曲?』『天才とは、かくも普通の景色から名作を生み出せるものなのか』と驚きました。
疎水を歩いていて、そんなことを思い出した私は、ベートーベンにあやかって『何か素敵なアイデアでも思いつくかもしれない』と、時間のある朝はこの道を歩いて工房に行きます。
11月末は紅葉目当ての観光客であふれていた遊歩道も、12月に入ると急に人が来なくなり、いつもの静かな山に戻りました。
疎水の水かさが減り、観光船は通らなくなったけれど、紅葉はそのままです。
町を見下ろす丘
(エレカシファンにだけわかるタイトル)
雨上がりには紅葉の絨毯を歩く。
毎朝、木を1本でもスケッチしたら絵が上手くなるかもしれないと思いながら、まだ描いたことがありません。葉っぱを持ち帰るくらいだけど、それでも『何か残るものもあるかもしれない』と思っています。
遊歩道を四ノ宮で降りると、諸羽神社があります。
神様にお祈りをした後、四ノ宮地蔵にお参りをしたら、工房はすぐそこです。
相方さんには、ベートーベン目指して(?)歩くこの道のことを「疎水のハイリゲンシュタット計画」と言っていましたが、今は普通に「ハイリゲンシュタットに行ってくるわ」と言っています。
人は想像力さえあれば、どこにでも飛べる。