私が影響を受けた芸術家(1)ゴッホ
最初にお断りしなければならないのは、私に直接的な影響を与えた芸術家は、ステンドグラスでは北條日出子先生で、チェロでは林口眞也先生です。このお二人無しに今の私は有り得ません。が、余りにも近すぎる存在なので、ここでお話しするのはやめておこうと思います。(飲みに行けなくなっちゃう)
「私が影響を受けた芸術家」ビンセント・バン・ゴッホ
高校生の時に渡された美術の本の裏表紙に、ゴッホから弟のテオに宛てた手紙が載っています。その手紙の内容に衝撃を受け、それ以降、私の描く空はゴッホに支配されたままで、私はそれで正しいと思っています。
もう20年以上も前の教科書なので承諾も無しに転載することをお許しください(誰に言ってるのか?)。ここに転載する内容は、美術に興味があっても「描くこと」に興味が無い人にとっては、どちらかというとむしろ要らない知識かもしれません。
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(長いので1文めは省略)
ここの自然の色彩を見ると、ぼくはよくミシェルを思いだす。きみも知っているように、彼もまた灰色の空(ときどきは黒ずんだねずみ色)とか黄がかった灰色のニュアンスをもった褐色の土地とかを描いている。これは全く真実だ。自然にかなっている。
いいかね、そのやり方でものを見るためには固有色そのものに注意を向けてはならない。空の色彩との関連において見なければいけない。
あの空は灰色だ—しかし、真珠光沢の輝きがあるからいかに純粋な白を使ってもこの光とちらちらした輝きを描き表すことは不可能だろう。いま、この灰色の空を描き始めたものがあるとする。彼はいま言った通り自然の強度に達するにはほど遠いのだから、首尾を一環させるためには、大地の褐色と黄がかった灰色をもっと沈んだ調子に加減することが多いに必要となる。一度このやり方で分析したら、実に条理にかなっているから、これまでいつもこの見方をしてこなかったことが理解に苦しむようになる。
だが緑の野とか赤茶けたヒースとかの固有色をひとつひとつ離して考えるとたちまち過ちを犯すことになるのだ。
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もちろん、欧州の空と日本の空は光線の加減や、その他様々な条件の違いによって全く同じように描くわけにはいきません。が、彼の言葉の中には風景を捉えるための大いなるヒントと真実が表されていると思います。